★ライトノベル年間ベスト10★
2006年・2005年・2004年

| 2005年ライトノベルベスト10 |
| 名作 |
1位:「終わりのクロニクルC<下>〜F」![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 壮大な世界観、シリアスとギャグを両立させたストーリー、個性的すぎる登場人物、脅威の刊行ペース、読み応えある圧倒的なページ数など、読む者に数々の強烈な印象を残した大作もついに完結。 概念戦争の真相が暴かれたD<下>以降の怒涛の展開には終始圧倒されっぱなし。 D<下>のハジVSアブラムや佐山を呼ぶ新庄の叫び、E<上>の遼子さんと新庄による過去を清算する儀式、E<下>の全竜交渉会議や飛場VSハジなど、名シーン・名セリフの連続に何度涙したことか! そして「清しこの夜」の旋律が奏でられる中、長い長い物語を締めくくったのは新庄の誓いと幸せな二人の姿を描いた1枚絵。 これ以上ないほど綺麗な幕引きに感動を覚えると共に、「ああ、この物語は終わりの年代記であると同時に、佐山と新庄、二人の始まりの年代記だったんだなぁ」とも今更ながらに感じました。 この素晴らしい物語の終わりに立ち会えた幸福を素直にかみ締めたい。心の底からそう思える作品でした。 2位:「海の底」 ![]() ハードカバーなのでランキングに入れるかどうか迷ったのですが、電撃から刊行されていること、そして何より良いものは良いというポリシーに則りランクイン。 突如として現れた人食い巨大甲殻類から横須賀を守るために戦う警察と、少年少女とともに孤立した潜水艦に逃げ込んだ2人の自衛官の奮闘を描いたこの小説。 本来ならばしがらみを排除しようとする対策本部の駆け引きや巨大甲殻類と戦う機動隊の男気などが見所なんでしょうが、私は望と夏木の不器用な恋愛を描いた部分に心惹かれました。 著者・有川浩は尻切れトンボに終わったデビュー作「塩の街」から大きく成長。ページの制約を気にしないハードカバーで一気に素質が開花しましたね。 電撃のハードカバーシリーズの看板作家としての地位を確立した彼女のさらなる成長を楽しみにしたいと思います。 |
| 超良作 |
3位:「銀盤カレイドスコープvol.4〜vol.6」![]() ![]() ![]() 巻を追うごとに持ち前の描写力に磨きがかかっていく海原零。トップスケーターが一堂に会する世界選手権を描いた6巻のスケート描写はまさに圧巻! 過去・現在・未来を通じてフィギュアスケートを書かせたらこの著者の右に出る人はいないと言ってももはや過言ではないでしょう。 本来なら2巻で完結していたはずの作品ゆえにシナリオに四苦八苦している感はあるものの、世界トップクラスのスケーターである姉との対比に苦悩する妹を描いた4巻のストーリーは掛け値無しに素晴らしかった! 自身の内にある弱さを吐き出すヨーコ、自分の価値観・考え・想いをありのままに語るタズサ。あの真夜中の姉妹の対話には何度読み返しても胸が熱くなり涙が溢れてきます。 個人的な好き嫌いだけならこの銀盤4巻をNO.1にしたかったです。 4位:「空ノ鐘の響く惑星でE〜H」 ![]() ![]() ![]() ![]() 常に高いレベルで安定した物語を供給し続ける空鐘シリーズ。長らく続いたタートム編も8巻でついに決着を見ます。 昨年発刊した4冊の中でもやはりタートムとの最終決戦を描いた8巻の出来は抜けてますね。 数に勝るタートムを伏兵の活躍によって混乱させ戦局を有利に進める序盤、玄鳥の出現によって一転して苦境に立たされる中盤、そして満を持して登場するフェリオらによって戦局をひっくり返す終盤。手に汗握る二転三転のシナリオは構成・描写ともに非の打ち所がなく、隙のない作品に仕上がっています。 また、束の間の平和を描いた9巻のラブコメ展開も畑違いにもかかわらずかなりのクオリティ。まさかこの作品で萌え転がる日がこようとは… 個人的には8巻から登場のソフィアがお気に入りです♪ 5位:「半分の月がのぼる空4・5」 ![]() ![]() “病気の少女とずっと一緒にいることを望んだ少年” この最高の設定に味付けなど無粋であると言わんばかりの難しい描写が一切ない読みやすい文章とシンプルなストーリー構成。 作者の言うところの「普通の少年と、普通の少女の、普通の話」を、1巻から相も変わらず何の小細工をすることなく直球で描いています。 祐一の里香と共にありたいという気持ちが願望から決意へと変わる4巻、最終巻と錯覚するような綺麗なラストシーンで幕を閉じる5巻。今年刊行した二冊は甲乙付けがたく、ともに極上のジュベナイルノベルに仕上がっていますね。 年齢層を問わない簡易な文章で構成されているゆえ物足りなさを感じないこともないのですが、これによって重いテーマとのバランスが取れているので指摘するのは野暮と言うもの。 軽快な文章、萌えるヒロイン、泣けるシナリオが見事に融和したまさに“ライトノベルの名作”という形容が相応しい作品と言えるでしょう。 |
| 良作 |
6位:「リリアとトレイズT・U」![]() ![]() 悪く言えば「アリソン」の劣化コピーとも採れるストーリーに賛否両論の声が挙がったこの作品。 私はもちろん全面肯定します。 だって例え劣化コピーだと言う意見を肯定したとしても、コピー元が素晴らしい作品なのだからそのコピーもも素晴らしい作品であるということですからね。良いものは良いんです。 それに大人になったアリソンとヴィルの姿を見るのはファンにとって嬉しいことですし、彼らの子供たちが親と同じような状況においてどのような行動を取るのかという観点から読めば十分楽しめますからね。 そして最も強調したい点はあちらが物語の終着点だったのに対し、こちらは物語の出発点だということ。 “両親の終着地からリリアとトレイズがどのような未来を紡いでいくのか?” それを考えるだけでわくわくしてきますよね。 あとがきによれば続編の構想があるとのことなので、これから二人が紡ぐ誰のものでもない彼女たちだけの物語に期待しましょう。 7位:「ムシウタ05・06」 ![]() ![]() 新キャラにスポットを当てるあまり、遅々としてストーリーが進展しないムシウタシリーズ。 5巻にてようやく視点が大介に戻り、その流れにようやく終止符が打たれたと思ったら、6巻では再び新キャラ視点の物語に…おまけに時系列が少し戻っちゃいましたよ(苦笑 夢を持つ少年少女が抱える熱い想いや主要人物を惜しげもなく殺す展開は相変わらず心を震えさすに足るんですが、この展開の遅さだけは何とかしてもらいたいですね。 それでも“始まりの三匹”に関する謎がいくつか解き明かされ、物語の核心に迫った5巻の出来は秀逸で年間ベスト10に入るに相応しいだけのクオリティは示しています。 また、この5,6巻では「bugシリーズ」のヒロインの末路が暗示されており、少なくとも今後に期待を持たせる内容であったことは確か。 あとはこの広げすぎた風呂敷をどう畳むのか。 これにこの作品が名作になるかどうかがかかっていると言えるでしょう。 8位:「紅」 ![]() 第3回スーパーダッシュ小説新人賞受賞作「電波的な彼女」の世界観を引き継いだ片山憲太郎待望の新シリーズは7歳の少女をヒロインに据えたボーイミーツガールストーリー。 ネガティブな世界観、救いようのない事件の数々、そして心に闇を抱えた“弱い”主人公。 負の要素に満ち溢れたこの作品はバッドエンド至上主義者の私にとって心地よいことこの上ないですね。 また、その闇があるからこそ正逆に位置する穢れを知らないヒロインと強くて個性的な女性陣がより一層輝くんですよね。 この「陽=女性、陰=男性」という新鮮な作風がこの著者最大の魅力と言ってもいいでしょうね。 戦闘描写の弱さが今後の課題ではありますが、相変わらず文章力・構成力は群を抜いているだけに安心して読めますね。 前作よりもシリーズ向きな作品だけに今後もより一層の期待が持てる作品でしょう。 |
| 佳作 |
9位:「電波的な彼女 〜愚か者の選択〜・〜幸福ゲーム〜」![]() ![]() 犯人候補が少ない、動機の説得力が弱いなど、ミステリにとって致命的な部分は相変わらず。 しかしながら、これまでも「ラノベにしては良く出来ミステリ」といったレベルだったし、多少ミステリ部分の出来が悪くてもこのシリーズを楽しんでいる読者にとっては些細な問題でしょう。それに質の良いミステリを読みたければ、そもそもラノベではなくミステリ小説を読めばいいだけのことですからね。 それに対してこのシリーズの最大の魅力であるネガティブな世界観とヒロインの魅力は健在どころか巻を追うごとに高まっている印象さえあります。 中でもヒロインの魅力の部分は2巻から登場する雪姫と3巻で本領発揮する光によってますます磨きがかかってますね。 特に光のツンデレぶりは悶絶もの!ジュウとのキスを思い返して唇に指を当てるシーンは理性を吹き飛ばすくらいの破壊力があるので必見です。 10位:「9S<ナインエス>X・Y」 ![]() ![]() ADEMを離脱した由宇と闘真。 待望の自由を得たのも束の間、遺産の情報を求める黒川によって由宇は拘束されてしまう。 彼女の命のタイムリミットが刻一刻と迫る中、ついに峰島勇次郎が姿を現す! いよいよ終局に向けて動き出した9Sですが、この5,6巻はまだその導入部にすぎず、盛り上がりはイマイチ。文章が堅すぎる作品のため、状況描写や説明が多いこの段階では読み難いことこの上ないんですよね。 ただ、終局が近いこともあって導入部でも戦闘シーンが多く、この作品最大の魅力である濃密な戦闘描写は十分堪能できます。特にベルゼブルとの二度にわたる戦いは5,6巻において最大の見せ場と言っていいでしょう。 まだまだ戦うべき相手はたくさん残っているので、この先これ以上の熱い戦いも待ってるはず。 この分なら来年度も確実にベスト10に食い込むことになりそうです。 |
| 総評 |
| 1,2位はもう別格。他の作品とはスケールが違いすぎて好き嫌いの余地を挟む隙もなくすんなり決定しました。 3位は完成度の高い空鐘にするつもりだったんですが、元スポーツマンとしては銀盤4巻の展開に共感を覚えてしまい、強く推したい気持ちに抗えず直前で逆転させることに。 5位半月のシナリオは十分名作レベルにあったのですが、あの文章では完成度という点で見劣りするためこの順位に。 3〜5位の差はほとんどなく、上位2作品が抜けてなければ名作にカテゴライズしてもいいと思える高レベルでした。 6位以下はほぼ差がなくどれを上位にとるか非常に悩みましたが、完成度の高さと将来性、自分の好みを考慮した結果、この順位に落ち着きました。 11位以下は「涼宮ハルヒの陰謀」→「わたしたちの田村くん」→「とある魔術の禁書目録7」の順。いずれもキャラ先行タイプですが、シナリオもそれなりに良かった作品。ただ、上位の壁を破るにはそれなりでは物足りず、もうワンパンチ欲しかったですね。 全体を見ると昨年2位に挙げた「悪魔のミカタ」、4位の「フルメタル・パニック!(長編)」、9位の「スカイワード」の続巻が刊行されなかったこともあり、やや小粒な感が否めません。 その中で健闘を見せたのが有川浩と片山憲太郎の昨年デビューした新人2名。安定した文章力と独自の世界観をすでに確立しており、作家買いしても安心できる好素材と言えます。 恐らくこの二人は次回のベスト10でも上位に食い込むことは必至。特にシリーズ物を持たない有川浩の動向は常にチェックしておくべきでしょう。 今年は昨年から続くラノベブームの影響を受けて各社とも出版数が急増。これに伴い地雷の数が増えたような気がします。 今後はこれまで以上に事前情報による選別が必要になるでしょう。 |